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研究について

研究の目的

本研究の目的は、現時点では根治的な治療法がない希少遺伝性疾患である消化管過誤腫性腫瘍好発疾患群(Peutz-Jeghers症候群・若年性ポリポーシス症候群・Cowden症候群)の国内における患者数と病態を把握し、小児から成人までの全ての患者さんに良質かつ適切な医療を提供できる医療施体制を全国で整備することで医療水準と患者さんの生活の質を向上させることです。

01 消化管過誤腫性腫瘍好発疾患群とは

Peutz-Jeghers(ポイツ・ジェガース)症候群、若年性ポリポーシス症候群およびCowden(カウデン)症候群/PTEN(ピーテン)過誤腫症候群が代表的な疾患です。

02 研究の計画

  1. 診療ガイドライン(2020年版)の普及
  2. 患者数と病態の把握・解析にもとづく適切な医療の提案
  3. 拠点医療施設(小児・成人・遺伝カウンセリング)と医療体制の整備
  4. 医療関係者、患者さん・一般市民への普及活動と患者会設立の支援
  5. 患者さんのニーズに応じた成人移行医療の支援
  6. 前向きレジストリシステムの構築

03 期待される成果

  1. 最善のサーベイランスと治療が普及し、患者さんの予後と生活の質(QOL)が改善する。
  2. 小児から成人期への移行期医療を含めたAYA世代のニーズにあった社会的支援によってとQOLが向上する。
  3. 疾患による負担が大きく、多角的な支援が必要な重症患者に対して、適切に厚生労働行政の施策が実施できる。

研究の必要性

消化管に良性の過誤腫性ポリープが多発する過誤腫性ポリポーシスは、非常に希な慢性疾患であり、現時点では根治的な治療法がないことから、小児慢性特定疾病に指定されています。しかし、本疾患群に対する医療者の認知度が高いとは言えず、適切な医療を提供できる医療機関は限られています。

良質な標準的医療が均一に提供されるために、2020年には3疾患の診療ガイドラインが公開されました。診療ガイドラインで引用されている知見の多くは欧米からの報告であり、日本人における病気の頻度あるは病態などの知見は極めて少ないのが現状です。一方、消化器内視鏡診療が世界でもっとも進歩しているわが国では、幼児から成人までの全ての患者さんに小腸を含む全消化管のポリープを観察し内視鏡で治療することが専門医療機関では可能です。その結果、外科的治療を回避でき、消化管の悪性腫瘍(がん)の予防が期待されます。

近年、消化管ポリポーシスの患者さんの一部では、体の設計図である遺伝子に特定の変化(病的バリアント)を認めることがわかってきました。特定の変化は親から子どもに遺伝することから、遺伝カウンセリングも重要となります。

私たち消化管ポリポーシス難病班では、本疾患群について国内での知見を深め、良質かつ適切な医療体制を整備し、患者さんの予後とQOLの改善のための研究が必要と考えています。

研究の特色

消化管ポリポーシス難病班は、小児科、小児外科、消化器内科、外科、遺伝学、疫学などの様々な専門性をもつ研究者によって、小児から成人期へのシームレスな医療体制と社会的支援を整備に取り組むます。特に本疾患群は小児期に診断されることが多く、小児から成人への移行期医療とAYA世代(アヤ:思春期・若年成人)の患者さんのニーズにあった社会的支援の拡充が重要であると考えています。

本ホームページについて

このホームページは令和2~3年度厚生労働科学研究費(難治性疾患政策研究事業) 「消化管過誤腫性腫瘍好発疾患群の小児から成人へのシームレスな診療体制構築のための研究」班 (中山佳子班長)により、令和3年度に開設されました。令和5年度より 令和5年度厚生労働科学研究費(難治性疾患政策研究事業) 「小児から成人の消化管過誤腫性腫瘍好発疾患群の医療水準とQOL向上のための研究」班 (坂本博次班長)が引き継ぎ更新をしております。